心底、不思議。~毒舌カナタとひねくれみーちゃん~
「あたし、聞いちゃった。


お母さんから。



………カナタ、あたしのこと探しに来てくれてたんだね」







カナタの眉がぴくりと上がるのが分かった。






「たまたま駅にいたんだと思ってた」






カナタが、観念したように、ふぅ、と息を洩らした。






「………そんなはず、ないでしょ。


図書館の帰りに、あの駅にいるわけないじゃない」






「あっ、言われてみればそうだよね。


ぜんぜん気づかなかった」






「ほんっと間抜けなんだから、みーちゃんは」






カナタは呆れたような声で言った。




また馬鹿にされてるわけだけど、ぜんぜん腹は立たない。





むしろ………。







「…………ありがとね、カナタ」





「…………『幼馴染』のよしみだよ」





「…………うん。ありがと」






カナタは微かに口許を緩めて、また参考書に視線を落とした。





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