やさしい手のひら・中編【完結】
生命
ガチャ

ドアの開く音が聞こえ私は目を覚ました

「健太・・・」

玄関の方を見ると健太が入って来ていた

「ここで寝てたの?」

「そうみたい」

「風邪引いてるんだぞ」

私の脇を持ちソファに座らせてくれた

うん?なんの匂いだろう・・・いつもの健太の匂いじゃないと思い私は思わず健太の顔を見てしまった

「どうした?」

「あ、ううん。なんでもない」

「熱下がってるな」

と私の額に触れた

これって女の人の香水の匂い?甘い匂いで間違いなく女の人が付けるような香水の匂い。いつも健太が付けている香水とは違っていた

この時間まで女の人と仕事してたの?時計を見るともう朝方で4時を過ぎていた

「風呂入ってくるな」

そう言って健太はお風呂場へ行ってしまった

いつもと態度は変わらないけど、どうしても香水の匂いが気になってしまう

そしてその匂いでまた気分が悪くになり、私はトイレへ駆け込んだ

健太に見つからなくてよかった・・・

自分で胸を擦っていた

「亜美」

リビングから私を呼ぶ声が聞こえ、一度深呼吸をして私はトイレから出て

「何?」

「いないから焦った」

健太はペットボトルを片手に持ち、一気に水を飲んだ

「健太・・・今日仕事だったの?」

「そうだよ」

「そっか・・・」

「なんで?」

「ううん」

「今日の亜美変だぞ」

私の頭をクシャクシャとして笑った

変なのは健太じゃないの?
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