With a smile

次の瞬間、その予想は大きく外れた。

フッと小さく鼻で笑って、小さく小さく、

「ああ」

と囁くように、確かに言った。

「ありがとうございます」

嬉しくて半分は声にならなかった。

失礼します、そう言って再び頭を下げて歩き出した。

いつ果たされるかわからない不確実な口約束だけど、いつかその日が来る、それだけで十分だ。

「マッキー」

予想外の声に反射的に振り返った。


「サンキュー」


扉から半分体を出したカイさんが、笑顔で言った。

その笑顔は今までに見たどの笑顔でもない、建都さんにそっくりな笑顔だった。