With a smile
「じゃあ、頑張ってるからこれあげる」

ズボンのポケットから缶を出して私の手の上に載せた。

「いいんですか?」

「特別ね。いつも助けてもらってるから。じゃあ、明日もよろしくね」

いつもの笑顔を残して会社とは逆の方へ去っていった。

その背中を見ながら夕日に感謝していた。

赤くなった私の顔を夕日のせいだと思ってくれただろうから。

体がカァッと熱くて、まだ心臓がドキドキしている。

私、建都さんを助けてる?役に立ってる?

特別だって、少しは私の事気にかけてくれてる?

建都さんにとって何でもない会話だろうけど、私にとっては生きてて良かったと思うほど嬉しくてたまらない。

やっぱり好きだ、こんなにも建都さんの事が大好きだ。

手の中の缶は、ほんのり建都さんの温もりが残っている様に感じられた。

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