With a smile
ポケットに忍ばせたポストイットを、服の上から確認する様にそっと触る。

早く夕方にならないかなー、まだお昼休みだけど。

いつもの様に3人で食堂に来たが、いつもの窓側は全部埋まっている。

「あそこに混ぜてもらおうよ」

由美ちゃんが指さしたのは、あの総務の2人がいるテーブルだった。

私は苦手だけど、由美ちゃんと圭子ちゃんはあれ以来仲良くなったらしい。

2人からは、あの子達から仕入れた会社の人の噂話をちょくちょく聞かされていた。

手を振りながら近づく2人の後を、重い気持ちでついて行った。

総務の2人はあの日と同じ様に、濃いピンクの唇で次々と会社の人の名前を出してはあれこれ話し続ける。

私は下を向いて今日のAランチを黙々と食べた。

「私まだ社長の息子見た事無いんだけどさ、モテるらしいねー」

息子って、総務なのに名前も覚えてないの?

「社員が何人も告ってるってー」

ムカつくけど、つい聞き耳を立ててしまう。

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