ユールクラップの愛
「私にはお構いなく。どうぞごゆっくり」
「だから…!」
私はスルーして行っていると、
「ヤキモチかな?春陽ちゃん?」
「…誰ですか?見ず知らずの方に軽々しく名前呼ばれたくないです」
「ちょっ…春陽!」
焦るお姉ちゃんの姿をフルで無視して、私は先を歩く。
知らない人に名前を呼ばれて、そんな馴れ馴れしい態度を取られて、いい気になる人はいないだろう。
「お姉ちゃん、これ。差し入れね」
「あ…、ありがとう」
「じゃ、またね」
私はヒラヒラと手を振って、先ほどの道を再び歩いた。
私は知っている。
見間違えるはずがない。
先ほどの彼は、あのTHE ACE―――雪都だ。