ユールクラップの愛




「私にはお構いなく。どうぞごゆっくり」

「だから…!」




私はスルーして行っていると、



「ヤキモチかな?春陽ちゃん?」

「…誰ですか?見ず知らずの方に軽々しく名前呼ばれたくないです」

「ちょっ…春陽!」




焦るお姉ちゃんの姿をフルで無視して、私は先を歩く。

知らない人に名前を呼ばれて、そんな馴れ馴れしい態度を取られて、いい気になる人はいないだろう。




「お姉ちゃん、これ。差し入れね」

「あ…、ありがとう」

「じゃ、またね」




私はヒラヒラと手を振って、先ほどの道を再び歩いた。
私は知っている。

見間違えるはずがない。


先ほどの彼は、あのTHE ACE―――雪都だ。






< 7 / 31 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop