サイコロ【短編】
結局、俺はまだ
人生を投げ出さずに生きている。



あの日、
ばつ悪そうな顔して、
母親はユースケを連れて帰った。



それ以来、ユースケには
会っていない。



ユースケの難しい手術が
行われたのか、
上手くいったのか、
それともーーーー



何れにしても、
俺は何もかも知らないし
知る気もなけりゃ、知る術もない。



いや、
術はあるな。



恐らく、公園隣の
あの病院に行けば
どうにかこうにか探し出すことは
出来たのかもしれない。



けれど、
しなかったんだ。



本当の事を言うと怖かったんだ。



知りたくないもない事実を
もし知ってしまったら……と、
考えると、何一つ動けなかった。



俺はいつだって臆病者だ。



それでも俺は、
また、俺の人生のサイコロを
振ろうとしている。



駒を動かそうとしているんだ。
少し、考えが変わったのかもしれない。



もういいやって、
こんなごみ屑みてぇな人生いらねぇって
相変わらず思ってる。



それでも、
屑みてぇにクシャッと丸めて、
放り投げるのは止めたんだ。



あんなガキですら
自分が生まれてきた意味を
探ってんだから、
俺ももう少し、俺の生きる意味ってのを
探ってみようかと、
そんな風に思ったんだ。



何もかもに、
絶望し、諦め、
人を信じることもなく、
人からも屑扱いされ……。



それでも俺にも
何か生きる意味が
残ってんじゃないかなって。



ほんの少しでも
生きる価値が
あるんじゃないかなって。



まっ、
わかんねぇけどな。



それに
縁がありゃ、いつかあのガキーーー
ユースケにまた会えるだろ。
















俺はサイコロを思い切り投げた。
俺だけに見えるサイコロを
天高く放り投げた。















< 11 / 11 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:12

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

嘘をつけない彼女達の事情

総文字数/5,901

恋愛(キケン・ダーク)11ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
アズミとユリカ 友人同士である彼女達が エイプリルフールについた嘘とは? そして、 本当の意味での 真実とは? 2002.5.26完結 【レビュー御礼】 シチローさん、ありがとうございます!
その熱、受け止めて〜℃〜

総文字数/4,791

恋愛(その他)9ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
飲み仲間達と、 みんなでワイワイ楽しくお酒を飲んで、 美味しいもの食べてお喋りして、 それで、 それだけで、 良かったんだけどなぁ… いつから私、 こんなにも欲張りになったんだろう 赤いワインとともに 流し込んだ私の秘めた思いは、 とても熱かった 2020.10.06 完結 ✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢ 耀成さんとのコラボ作品です! 耀成さん作、【喉元の熱〜℃〜】を先に読んで頂くと2倍!楽しんで頂けます。
表紙を見る 表紙を閉じる
いつだって 隣にいるのが 当たり前だった けれど… なんなんだ? なんなの? このドキドキは! これってもしかして… 恋なのか? 恋なの? あいつと俺が 私とあいつが 幼馴染みから恋人に なれるのか? なれるの? 拗らせな二人の恋物語はじまりです ↓ ↓ ↓

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop