片想い協力者は無愛想ヤンキー!?
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永遠



そしてその日の後夜祭。


秋に近くなって肌寒いこの日に外では色々イベントがあるらしい。


だけど…みんながグラウンドに出ていく中、私は一人教室の片付けをしていた。


『これは…あっちで…あれもあっちか…』


独り言を呟きながら、せっせと片付ける。


その時、ガラッ…と教室のドアが開く。


振り向くとそこにいたのは瑠樹だった。


『外行かねーの?』


『うん…片付けしなきゃだし… 』


ホントは行きたいんだけどね。

なんて言わないけど…。


瑠樹は窓に近くづくとカラカラ…と開けた。


『さむっ!!閉めてよ~!!』


ブルブル震えて文句を言う私。


『もーすぐだから。』


『なにが…【さぁ~!!みなさん!!ついにやって来ました!!後夜祭メインイベント、打ち上げ花火~!!!!】』


外から聞こえた男の子の声。

その男の子の声を合図にワァッ!!!!と騒ぐ生徒達。


『打ち上げ花火…?夏じゃないのに??』


そう言うと瑠樹は


『いーんじゃね?今日だけ特別って事で。』


ふぅん…


『なら外に行っとけばよかったなぁ~…』


ハァ…と溜め息を吐いていると


『美亜里、こっちこい』


と言われてトボトボと歩いて行く。


【では!本日一発目~!!みなさん、カウントしてください!! せーの…!】


『『『『ごーっ!!』』』』



カウントが始まった。


『今年の花火、超キレイらしいぞ』

『『『『よんっ!!!!!!』』』』


『そーなんだ… 』


『『『『さんっ!!!!!!』』』』



『…美亜里…』


『『『『にーっ!!!!!!』』』』


『ん??』


『『『『いーちっ!!!!!!』』』』



『…愛してる』



ドォォォン!!!!!!!!!!




『『『『ワァァァァァ!!』』』』



花火の音が鳴り歓声が聞こえる。


けど…私は花火より瑠樹を見ていて…瑠樹も私を見ていた…



『今…』

驚く私をよそに瑠樹はポケットからジャラ…とキレイなネックレスを出した。


そして私に付けると優しく微笑む。


『まだ美亜里の小指に相応しい指輪は買えねぇから、今はネックレスで我慢しろよ?』


そう言って優しくキスをした。



『ありがとう…』


不覚にも涙が浮かんできた。



瑠樹はフッと笑う。


『泣くほど嬉しいのかー、それは買ってきてよかったー。』


そして私を引き寄せて



『花火見よーぜ、特等席で。』



『うん…』


夜空に光る星達にも負けない輝きを発する花火を二人で笑いながら見た。





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