何度でも、伝える愛の言葉。

『本当はまだ私のことを好きでいてくれるんじゃないか…でも良基さんは好きじゃなかったって言う。
私とは一緒に居られない理由が何かきっとあるんだ、だからその為に今度こそ私と本当に離れようとしてる…そう思った。』


その理由は、澪がもう傷付けられないように新たな場所で歩み始めてほしいという良基さんの願いだ。



『だから私もそれを受け止めて、良基さんは嘘なんかついてないって自分に言い聞かせた。酷い人で、私にとってはただの先生。
今度こそちゃんと忘れて、バンドで頑張っていこうと思ったの。』


その翌日、澪は俺の告白を受けた。



「俺と付き合えば、忘れられると思った?」


誰かを好きになるということが、恋が、こんなにも上手く行かないものだとは思わなかった。

ただ好きだという気持ちだけで相手を受け入れられて、許せて、まっすぐな想いがあればそれで良いんだと思っていた。

だけどその裏には、言葉にしなければ知ることができない駆け引きや考えが渦巻いている。



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