何度でも、伝える愛の言葉。

「別に律儀に守ってるわけじゃねーよ。」


確かに澪のことは好きだ。

ただルールを破る程に澪との心の距離が縮まったわけでもない。



『難しいよな、やっぱ女子って。』

「急にテーマ大きくすんなよ。」


距離が縮まらないのは俺だけじゃない。

悠斗も悟も、澪が笑顔の奥に抱える闇には触れられない。

良い意味で空気の読めない誠太だけは例外で、どうやら澪からいろんな話を聞き出しているようだった。

その情報が俺たちまで回って来ない部分は誠太なりの気遣いかもしれないが、ならば気の遣い方を間違っている。



『早坂だっけ?悟のスクールの先生。』

「あぁ、あのいけ好かない奴な。」

『随分な言われようだな。』


いけ好かないものはいけ好かない。

悟が『良い先生』だともてはやす度に澪の表情が曇るのだ。


自分の感情をほとんど外に出さない澪が隠せない程にはっきりと。



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