ショート・ショート集
第1話「チュバルク・ウィンストン」
「・・たか子・・・ゴメン・・本当にゴメン・・・・・」


私は3年半付き合ってきた彼氏に、突然フラれた。理由は、他に好きな女が出来たからという事だった。


付き合って3年が経った時に、彼は私に「もう少ししたら結婚しよう」とプロポーズの言葉と、指輪をくれた。


その指輪は、20代後半の女性にとても人気があり、値段もかなり高価な「チュバルク・ウィンストン」というブランドの指輪だ。私のイニシャルの「T・K」入りだった。


しかし彼は、私にプロポーズの言葉と、指輪をくれたスグ後に、他の女の事を好きになるのだった。


私は本当に鈍感だった・・・・。半年間、彼が他の女に気がいっている事に全く気付かなかったのだから・・・自分でも情けない・・・。


でも、彼の事は本当に愛していた。私は(この人となら、理想の夫婦になれる)と思っていた。私の理想の夫婦とは、私の両親の様な夫婦です。


私は、小さい頃から、妹と両親と、家族四人で毎週日曜日には外にお出掛けしていた。いつも家族で過ごす時間を大事にしている両親だった。


私と妹が成人して、日曜日に両親と出掛ける事が無くなっても、両親は二人で、日曜になると喫茶店にコーヒーを飲みに行き、映画を見たりして、昔から仕事熱心な父が、「残業だから遅い」と言っても、母は父が帰宅するまでは、夕飯に箸をつけなかった。そんな両親を見て、私は本当にいい夫婦だなと思っていた。


彼とは趣味もSEXもピッタリと合っていたので、必ず両親の様になれると信じていたのに・・・・。
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