box of chocolates
 ご主人はお菓子作りを、奥様は接客をしていた。まずは、慣れるために、奥様にくっついて接客のお手伝い。奥様がお客様とお話しをしている間に私が商品を用意したり。それは慣れているので、手際良くできた。
「bonjour! あれ? 日本人?」
 店に入ってきた、私と同じくらいの年齢の、日本人男性が私を見て言った。
「パティシエの川越さんの娘さんよ。彼女もパティシエ修行中」
「川越さんの? へぇー」
「こんにちは」
 男性は、父のことを知っているようだ。
「こんにちは。川越先生には日本でお世話になっていました。岩槻です」
 岩槻さんは、色白で細身の男性だった。パティシエって結構な力仕事だけど、大丈夫なのかな?と心配になるくらい。
「彼はその先にある、赤い屋根のカフェで修行中なの。また師匠のおつかい?」
「ええ。うちの師匠は、Sakuraさんのファンだからね」
 日本人が来てくれると、フランスにいるのに、フランスじゃないみたいに安心した。



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