愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】

「放せよ…ちくしょう…」

「返してって言ってるでしょ!」


もみ合いながら、なんとか携帯を掴んだ。でも、次の瞬間…雨に濡れた手から携帯がスルリと滑り落ち、まるでスローモーションみたいに地面に向かってゆっくり落ちていく…


「あぁぁ……」


必死で手を伸ばすが…


カシャ~ン……


電池パックのカバーが外れ、何度か地面を跳ねた携帯が道路隅の水溜りに飛び込み小さな水しぶきを上げた。


うそ… そんな…


慌てて水溜りから携帯を拾い上げ胸に抱き締め叫ぶ。


「和弥… かずやぁーっ……」

「あ~ぁ。悲惨~」


まるで他人事の様に笑う後藤に私の怒りは頂点に達し、彼の元に駆け寄ると胸ぐらを掴み狂った様に怒鳴り散らした。


「許さない!!絶対に…許さない!!」


すると、今までニヤけていた彼が豹変したんだ。


「うっせぇんだよ!!勝手な事言ってんじゃねぇよ!!俺はなぁ、あんなにバカにされたの初めてだ。いいか?もう一回ヤッて、お前をメチャクチャにしてやるよ!二度と男に触れられない体にしてやる!!」

「後藤君、いい加減にして!」


美奈子が叫びながら駆け寄って来て、私と後藤の間に割って入り彼をキッと睨む。


「フン!俺は絶対、諦めねぇからな…よく覚えとけ!」


彼の眼が鬱積した私への恨みで醜く濁っていた。でも、今の私は後藤なんかの事より、壊れてしまった携帯の方が気がかりだった。


和弥との思い出が詰まった携帯が…どうしよう…

< 134 / 362 >

この作品をシェア

pagetop