愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】

それから美奈子はデリバリーでランチを頼み散々騒いで帰っていった。ポツンと一人残された私。こんな広い部屋に一人で居ると寂しくなる。


新川さん、今日は、ここに来るのかな…来てくれるのかな…


ソファーに寝ころびながら真紅に染まった都会の空を見つめていると、部屋の電話が鳴り出した。もちろん出る訳にはいかない。そのまま放置してると留守電に切り替わりメッセージが聞こえてきた。


『北沢さん…北沢さん、居る?新川だけど…』


新川さんだ!


相手が新川さんだと分かると嬉しくて、私は急いで受話器を取る。


「北沢です!!」


自分でも驚くほど声が弾んでる。


『携帯の番号、教えてなかったね。調子はどう?大丈夫?』

「はい、大丈夫です」

『そう、良かった。食事はした?薬はちゃんと飲んだ?困ってる事とかない?』


まるで小さな子供を心配するみたいに色々聞いてくる。


「はい。食事もしたし、薬も飲みました。それより…あの…今日は、このマンションにみえるんですか?」


…返事が無い。そうだよね…忙しそうな人だもん。私に構ってる暇なんてないよね。


余計な事を聞いてしまったと後悔してると…


『行ってもいいの?』

「えっ?」

『俺、行ってもいいかな?』

「行ってもいいかな…って、ここは新川さんの家じゃないですか」


思わず笑いながらそう言うと『北沢さんの許しが出たから、行かせてもらおうかな…』なんて、彼も笑ってる。


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