愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】

私は、さっきの莉子ちゃんとの会話を全て龍司に話した。さすがに龍司も驚いたのか、かなり動揺していた。


「母さんが義姉さんに辛くあたっていたのは知ってるが、まさか莉子がそんな事を考えていたなんて…」


龍司の顔が引きつってるのがハッキリ分かる。


「龍司…莉子ちゃんと香苗さんが可哀想過ぎるよ…実家に帰ってあげて…」

「真央…」

「今は私の事より、2人の事をなんとかしないと…このままじゃ、莉子ちゃんは大人の顔色を伺う寂しい子供になっちゃうよ。初めて会った私にあんな事言うくらいだもの。よっぽど辛いんだよ。それに、香苗さんだってそう。精神的に追い詰められてる。お願い…あの2人を助けてあげて…」


龍司は何も答えなかった。ただ、何度も大きなため息を付いているだけ…


マンションに帰っても私達の間に会話はほとんどなかった。




―――そして、次の日の朝


日曜なのに決算時期が迫っているからと休日出勤する龍司に、私はもう一度、莉子ちゃんと香苗さんの事をお願いしようとした。


でも、私が話しを切り出す前に龍司が口を開く。


「真央…4月になったら、実家に戻るよ。莉子の事も真央の事も、母さんとよく話してみる。兄貴にも相談してみるよ。本当なら、莉子や義姉さんの事は兄貴がなんとかしなきゃいけない問題なんだろうが、兄貴はまだ暫く日本には戻れないだろうし…近くに居る俺が力になってやらないとな…」

「そうだね…そうしてあげて」

「すまない…」

「どうして龍司が謝るの?あなたが悪いわけじゃない…」


寂しそうな笑顔を残し龍司は部屋を出て行った。


莉子ちゃんの事で頭の中が一杯だったけど、実は自分の心配もしなきゃいけなかったんだ…私と龍司…これからどうなるんだろう…


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