愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
「龍司おじちゃん…帰っちゃうの?」
「莉子…ごめんな。また来るから…」
「ヤダーー!!」
私の手を離し、龍司の足にしがみ付いて大声で泣き出す莉子ちゃん。
「ヤダよ!帰らないで!今日はお泊りしてってー」
「莉子…」
莉子ちゃんの尋常じゃない泣き声に驚いたのか、お兄さん夫婦とお父さんが外に飛び出して来た。そして莉子ちゃんを龍司から離そうとするが泣きわめき離れようとしない。
私は莉子ちゃんの横に膝をつき、彼女にソッと話し掛ける。
「莉子ちゃん、おねえちゃんね、莉子ちゃんのママのお友達になるよ。だから泣かないで…」
「ホント?」
「ホントだよ」
彼女の涙がピタリと止まり、満面の笑みで私を見つめる。
「お姉ちゃん、また来てくれる?」
「うん、また来るね」
納得してくれたのか、莉子ちゃんが龍司から離れ香苗さんの胸に飛び込んで行く。
「今日は失礼したね…どうかまた来て下さい」
お父さんが申し訳なさそうに頭を下げると、お兄さん夫婦も深々と頭を下げてくれた。
「そんな…私こそ失礼しました」
お母さん以外は、こんなにいい人ばかりなのに…
なんとも言えない思いで龍司の実家を後にし、車に乗り込んだ私は一つ大きく息を吐き、龍司の横顔を見つめた。
「龍司…莉子ちゃんの事なんだけど…」