愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】

「今、家族と離れる訳にはいかない…そう言ったんだ。母親は妹と父親の看病で疲れ果ててる。それに離れて暮らせば今以上に生活費が掛る…ってな。

だから俺はアイツの給料を倍にして、俺のコネで腕のいい脳外科医の居る完全看護の病院を紹介した。桜井の父親の入院費は、俺のポケットマネーから出してる」

「うそ…どうして、そこまで…」


いくら優秀な部下を転勤先に連れて行きたいからって、和弥に入れ込む龍司は普通じゃないと思った。


「そこまでしても、欲しい男なんだ」


涼しい顔でそう言ってのける龍司に呆然として言葉を失う。でも、龍司の今の話しで全てが分かった様な気がした。


だから和弥は、龍司を裏切れない…


複雑な大人の事情。自分の気持ちだけではどうにもならない雁字搦めの和弥。


そんな辛い思いをしている和弥に、私は自分の想いばかりを押し付けてしまった。世話になってる龍司の婚約者の私に手を出す事など、和弥には考えられない事だったんだ。


「桜井は元々こっちの人間で、九州には高校生の時引っ越して来たそうだ。なんでも腎臓病の権威って医者がアメリカから九州の病院に来たって聞いて家族で引っ越して来たそうだよ…」

「えっ…」


それが、和弥が居なくなった…理由?


「イヤだったそうだ…転校したくないって、ギリギリまで渋って親を困らせたって言ってたよ」

「…どうして…イヤだったの?」

「んっ?それはな…」


龍司が眼を細めて微笑みながら言う。


「なんでも、好きな女が居たそうだ…」

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