愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】

和弥の一言で麗子は口を閉じ、大きな瞳から見る見る内に涙が溢れ出す。


「麗子…」


その時、和弥の携帯の呼び出し音が静かなチャペルに鳴り響き、慌てて携帯を手にした彼の表情が険しくなる。


「新川部長からだ…」


和弥はそう言うと携帯を耳に当てながら私と麗子から距離をとる。すると麗子が私の手を更に両手で強く握り泣きながら頭を下げた。


「真央…ごめん。私、和弥の事がどうしても忘れられなくて、引っ越した日から和弥の携帯に電話しまくってた…着信拒否されても友達の携帯借りたり家の電話使ったりして。

そしたら、和弥の携帯解約されちゃって…その後、真央が必死で和弥の連絡先クラスの子に聞いてまわってたの見て…辛かった…ごめんね…真央…」


麗子…ずっと、気にしてくれてたんだ…


「そうだったの…でも、私達が別れたのは麗子のせいなんかじゃないよ…」

「有難う真央…そう言ってもらえて少し気が楽になった…それとね…」


麗子が何か言い掛けた時、携帯を切った和弥が浮かない表情で私に向かって手招する。


「真央、ちょっといいか?」

「うん、それで…龍司なんだって?」

「式の日が決まったら真央に電話するように言ってくれってさ…」


私じゃなく和弥に念を押す龍司。やっぱり、龍司は私と和弥を試しているのかもしれない。


「ねぇ、真央…アンタ達、いったいどうなってるの?」


コソコソ話している私と和弥に麗子が心配そうな顔で聞いてくる。


「この結婚って、ホントは訳アリなんじゃないの?ちゃんと話してよ。私に出来る事があったら力になるから…」


一瞬、迷った。でも麗子になら言ってもいいよね…友達だもん。


「麗子…この話しは、絶対秘密だよ…」


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