愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
ぶっきらぼうに、ズラしたジャージに両手を突っ込み遠くを見つめてる。
その時、私と彼の間に湿った風が吹き抜け濡れた髪を乱す。そして、私の心も大いに乱れた。
私、ちょっとしたパニックです。
「あわわ…でも、濡れちゃうから…」
「かまわねぇよ。その為のタオルだろ?」
「はぁ…ごもっとも…」
呆れ顔でプイッと横を向きグラウンドの方に走り出した桜井君。取り残された私はタオルを握りしめ呆然と立ちつくしていた。
「あ、あのー…」
既に小さくなった彼の背中に囁く様な小さな声を掛けてみるが、当然、聞こえるはずもなく、頬を滴る雫がグラウンドの乾いた土の上に水玉模様を作っていく…
使って…いいのかな?
せっかくの彼の好意だ。無にするのも悪いと、そのタオルを濡れた顔に押し当てた瞬間、ほんのり石鹸のいい香りが鼻腔を優しく刺激し、私は何度も深呼吸を繰り返す。
何故だか胸がキュンとして、体が熱くなるのを感じたんだ…
なんだろう…この不思議な感覚…
私の名前は
北沢 真央(きたざわ まお)
高校1年の15歳
「まおぉー!!」
桜井君と入れ違いに沙紀が走って来ると、沙紀は桜井君の姿を目で追いながら不思議そうに聞いてくる。
「ねぇ、まさかと思うけど…
今、桜井君と話してた?」