愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】

私の逆らう腕を押さえ込み彼の顔がすぐそこまで近づいてきた。部屋は一瞬にして水を打った様にシーンと静まり返り、全員の視線が私達に注がれる。


「あんなスゲー事してんだから、キスなんてたいした事ねぇだろ?」


耳元でそう囁き、俊の唇が容赦なく私の頬に…そして、首すじに触れると、体が熱くなり顔が赤く染まるのがハッキリ分かった。


ソッと私の唇に俊の唇が触れた瞬間、友達の好奇に満ちた視線を痛いほど感じ、恥ずかしくて体が硬くなる。


「んんっ…」


でも、何度も唇を重ねるうちに、徐々に気持ちが高ぶり変な気分になってきた。


なんだろう…いつもより、凄く感じる。見られているという事が、こんなに刺激的だとは思わなかった…


唇が少し離れる度に、お互いがソレを追いかけ繰り返されるキス。自然に舌が絡み合いやがて激しいディープキスに…


周りに友達が居ることも忘れ2人の世界に入り込んでいく…


でもその時、突然、部屋に大声が響き渡った。


「真央も森本君も、いい加減にして!!」


驚いて俊と離れると、今まで一言も喋らなかった沙紀が私と俊を睨み付けていたんだ。


「沙紀…どうしたの?」

「何やってんのよ!!調子に乗って、バカじゃない?」


沙紀は、明らかに怒っていた。


「森本君、もう帰ってよ!ここは女子の部屋だよ!!」


俊に向けられた沙紀の視線は、ゾクッとするほど怖かった。


「分かったよ…」


俊は素直に立ち上がり言い返す事なくけだるそうに部屋を出て行く。


「沙紀…?」


俊が部屋を出たのを確認すると、沙紀は布団を被りサッサと寝てしまった。


何か…変…


なぜ沙紀が、そんなに怒るのか?そして、どうして俊は沙紀に言われるまま何も言わず部屋を出ていったのか?


不信に思いながらも、その後は皆シラけてしまい大人しく布団に潜り込んだ。

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