その手を天高く伸ばせば
「ん〜〜〜、甲状腺が腫れてるみたいだなぁ・・・」

<え?甲状腺??>

「喉の所がね、普通なら指に触れないんだけども、今触診したらハッキリ指に当たる位腫れてるから・・一度大きな病院で見てもらって下さい」

「・・あ、はい・・・」

「じゃぁ一週間分の薬出しますから、それでも月経がない場合はまた来て下さい」

ニッコリとオジサン先生が笑う。

「ありがとうございました」

受付で薬を貰い、「お大事に」と看護婦の笑顔で見送られて、ユウは病院を後にした。



<・・・・甲状腺?>
病院の入り口を出てから立ち止まり、そっと自分の喉を触ってみる。

<・・・・・甲状腺が腫れてる・・?腫れてるんだ>

確かに、しこりの様なものを感じる。腫れている部分に触れてはみても痛みはない。

<・・・・風邪とか?>

ユウは喉をさすりながら、また歩き始めた。

<・・ま、とりあえずお薬もらったし、様子を見てみて考えるか喉の件は!>

薬を処方してもらえた事で何だか気分が楽になり、ケンチへメールを送る。



《授業終わった?ワタシは今日ちょっと調子悪くて病院に行って来た
甲状腺?が腫れてるって言われたから、今度時間があるときにでも、大きな病院で診てもらうよ》

《どした?大丈夫なのか?甲状腺?・・・風邪とか?》

?いっぱいの返事が届いた。

《それは扁桃腺じゃない?笑っ
甲状腺だよ、甲状腺・・・
でも今日行った感じじゃそんなに心配なさそうだから、時間が出来たら病院行ってみるよ》

《ちゃんとしっかり診てもらえよ!》

《うん》

ケンチのメールに返事を送りながら思う。

<・・・・医大生なのに、甲状腺と扁桃腺間違うなんて・・・・本当に医者になれるのかなケンチ・・・?>

小首を傾げながら、家に向かった。
何となくまた首を触ってみる・・・やはり腫れている、気にはなったがユウは、そのまま様子をみる事にした。
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