疑惑のグロス
「ホント?そんなこと言ってたの?」
「うん。大塚って子も、嬉しそうに笑ってた。
あれは、まんざらでもない顔ね」
ゆたの表情が、途端に曇る。
――あれ?
ゆたはもしかしたら……大塚のことが好きなのかな。
でもさ、もしそうだったら一石二鳥じゃない。
ゆただってきっと、松原くんが大塚に想いを寄せてるの、いい気はしないはず。
そして、できることなら自分が彼氏になりたいって思うのが普通よね。
私の為にも、ゆたの為にも、やっぱりあの二人はくっついたら駄目なんだ。
「璃音さんが……ねえ」
腑に落ちないんだろうな、ゆた。
顔がグレーに曇ってるわよ。
でもさ、わかるわかる。私も一緒だよ。本当にショックだよね。
ゆたの気持ちを確信した私は、ここから一気に本題を持ちかけた。
作戦のコードネームは『フラワー』といったとこかしら。
って……今考えついたばかりだから、意味もひねりも何もない。
たぶん、さっき花を見たからそんな単語が出てきた、ただそれだけの理由だ。