同期が急に変わったら…。〜将生side〜



決戦の4時。





会議室。





『部長、お忙しいところ、
申し訳ありません。』


『いや。俺の方こそ、
この前は、勝手に悪かった。
ちゃんと、説明をするべきだよな。』


『はい。
いや、うちの説明も聞いて頂きます。』






部長は、頷き理解を示してくれた。






狭い会議室に、

部長の淡々とした声が広がった。






部長によると、

企画も寿退社と産休で人員不足。




企画の社員は残業が殆ど50時間を

超える勢いまできているそうだ。

総務からも注意を受け、

人員を増やすしか策はないんだ、と、

説明を受けた。






納得は出来るし、大変なのも理解した。






だからと言って、

なぜいずみなのか、そこを追求した。






企画の社員の希望や評判を踏まえて、

営業のいずみの名が上がったらしいが、

決め手は、

やはり書類作成の完璧さだ。






いずみが企画に提出した書類は、

かなり評判が良かったらしい。






それは分かるが、

営業1課も残業時間はギリギリだ。

人を送れる程、余裕はない。







俺の攻撃開始だ。






『桐谷は、
今、宮野の補佐を兼務しています。
宮野は、次期エースとして
成長の途中です。
桐谷を渡す訳にはいきません。』


『いやー。でもウチも必要だからな。』






ここで宮野も攻める。






『部長。
僕も今、桐谷さんに抜けられたら、
完全にバランスを崩します。
一番大事な時期なんです。
なんとか他の方でお願いします。』





俺と宮野は頭を下げた。





『そうは言われてもなあ。』







それから、2時間。

話し合いは続き、どちらも引かない

攻防戦となった。






『わかりました。
せめて、一年待ってもらえませんか?
一年間で宮野を成長させて
俺が即戦力に育てます。
その間、
桐谷に補佐を続けさせて下さい。
全ては、会社の利益の為です。』


『僕も努力します。
桐谷さんに補佐をしてもらわなくても、
課長のようになれるよう、
全力で頑張りますから。
お願いします。』






なかなかお互い譲らない。

しかし、

時間もこれ以上かけられない。






『部長。お願いします。
一年間待って下さい。
引き継ぎもさせて下さい。』


『んー、だがなあ。』


『次の補佐が引き継いでも、
すぐに仕事を熟すには時間が必要です。
企画の仕事を世に出すのも
俺達営業です。
今回は、譲ってもらえませんか?』


『はー、お前ら本当にしつこいな。
分かったよ。
企画のヤツらともう一度話してみるよ。
返事は明日。
それでいいか?』


『はいっ。よろしくお願いします。』


『ありがとうございます。』


『それにしても、
桐谷はそんなに大事か?』



『大事な存在です。』



『そうか。営業は、いい仲間だな。』


『いえ。ありがとうございます。』


『じゃあ、明日な。お疲れ。』






夏木部長は、会議室を出て行った。




4時からスタートした話は、

6時半に終了した。






はぁーっ。

疲れた。




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