同期が急に変わったら…。〜将生side〜



結局、

部長との話し合いが長引いてしまい、

仕事はすっかり残業になった。






いずみも、1時間前に帰って行った。






上手くいけば…、

と考えていた俺の夜の予定は、

簡単に崩された。






仕方ない。

とことん残業して行くか。






いずみのマンションを諦めた俺は、

ひたすらキーボードを叩く。






カタカタカタカタカタ。

カタカタカタカタカタ。






あー、目が痛い。





目頭を、親指と人差し指でグーっと挟み

目を閉じる。






もう少しやるか。





『課長、終わりました。』






目を開けて、顔を上げると

加藤が俺のデスクの前に立って

仕上げた書類を提出してきた。






加藤は、まだ若い女性社員。

最近やっと営業に出始めた。

しかし、よく頑張っている。






ウチの部下達は、皆、努力家だ。






加藤の書類に目を通し、

修正箇所を確認した。






『よし、いいぞ。』

『はいっ。
じゃあ、お先に失礼します。』

『ああ、お疲れ
あー、加藤。ちょっと待て。』

『はい。』







この遅い時間に、

若い女の子が一人で帰るのは

まずくないか?






俺が送ってもいいが……。






『宮野。』

『はい。』






デスクに座ったまま宮野が返事をする。






『お前、後どの位かかるんだ?』

『あと少しです。』

『そうか。
悪いが、加藤を送ってやれるか?』

『あー、はい。
じゃあ、あと10分くらいで。』

『よし。じゃあ頼む。』






デスクの前の加藤を見れば、

なんだか落ち着かない様子だ。






『加藤、宮野に送ってもらえ。
もう遅いからそうしろ。』

『でっ、でも。宮野さんに迷惑が…。』

『迷惑?宮野〜、迷惑か?』





向こうのデスクの宮野に声を掛ける。





『いえ、全然。
加藤、待ってろ。送るから。』

『あっ、はい。すみません。』

『いいえ〜、お安い御用。』






10分後、

宮野と加藤は、セットで帰って行った。






また、オフィスに一人。






なんか、腹減った。

昼にいずみに貰った

オニギリが一つ残ってる。






コンビニの袋を再び開けると、

またあのメモが目に入った。






『ふっ。』






ヘロヘロになるのは、お前だけだろ?

俺を一緒のくくりにするな。






可愛いヤツ。







携帯を手にして、




【まだ残業中。

オニギリありがとう。美味かった。】





メール送信。





暫くして、携帯のメール音。





【ヘロヘロ課長に差し入れ。
お返しなら、しゃぶしゃぶでいいよ。】





ふざけんな。

たっかいオニギリだな。

アホか。





【もう寝ろ。】


【あんたは早く帰れ。】






ふっ。


………。



会いてー。






帰るか。





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