同期が急に変わったら…。〜将生side〜



いずみのキッチンで

コーヒーを淹れる。





そのうち起きるいずみの分も

一緒に淹れておくか。






コーヒーメーカーをセットして、

ポコポコいってる間に

郵便受けに入っている新聞を

勝手に取って来た。






新聞を広げて

ひとりでコーヒーを飲んでいたら





『将生〜?起きたの〜?』





寝室から、

眠そうないずみの声がした。






起きたか。

コーヒーも淹れたし

いいタイミングだ。




匂いででも起きたのか?

あいつ、嗅覚、すげーな。






寝室を覗くと

いずみは

横になったままキョトンとしている。






からかってやるか。





『いずみ、おはよ。
お前、寝相悪すぎ。寝れねぇ。』


『は?嘘でしょ?
言われた事ないよ。』


『誰に?』


『歴代彼氏?』





なんかムカつく。





『お前、何年前の話してんだよ。』


『……。二度と泊めない。』


『ハハハっ。
嘘だよ。よく寝たよ。
早く起きろよ。』


『将生〜。あんたねぇ…。』


『はいはい。コーヒー淹れたから。』








朝から面白いヤツ。






いずみの白のマグカップに

コーヒーを入れて

テーブルの上に置いた。






寝室から出て来たいずみは、

髪を手で梳かしながら

椅子に座った。






幸せそうに、

コーヒーを飲んで




『ありがと。美味しい。』




と言う。






俺は、

タバコを吸いながら

新聞に目を通していた。





ん?

なんだ?

なんか、見てねぇか?





いずみは俺を見てるらしい。





少しは、一緒に寝た効果あったか?




『お前、見過ぎ。』




いずみの方を見て

ニヤっと笑ってやった。






いずみは俺に

イケメンって自覚してるのか、と

訳のわからない事を質問する。





アホか。





適当に、いい男だろ?と返したら

いずみは、

わりと大きな声で笑った。







笑わせるつもりはなかったが、

いずみの寝起きの笑顔が可愛いかった。





だから、




『いずみもいい女だけどな。』




と、本気で言ったんだが。

それは嫌みか、と、拗ねた。





真面目な顔で、

嫌味じゃない、と言ってみたが、

どうも、

そうとは思ってくれないらしい。





本気で言ったんだ。

こいつ、照れるどころか、

若干、不機嫌だ。





心外だ。






本当にそう思ってる。

いい女だって。




少しは喜べ。

素直じゃねーヤツ。




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