甘いのくださいっ!*香澄編追加しました*
「何かしら……。
今日のランチタイムは
貸し切りなんだけどなぁ…。」


と、言いながらも電話に出るユズさん。


そっかぁ、
私達の為にお昼の時間
貸し切りにしてくれてたんだね。


通りで他のお客さん
見かけないわけだ。


私が新作デザートを食べながら
呑気にそんなことを考えていると
ユズさんの凍りついたような声が
お店に響いた。












「えっ……嘘……でしょ……。」


ユズさんは受話器を握りしめ
そう言ったきり固まってしまった。


「ユズ……さん?」


坂下さんの問い掛けにも
返事がない。


すると、受話器の向こうから
何やら声が聞こえた。









ーーーもしもし、おい、ユズ?
聞いてるのか?









えっ……サトルさんの声……?


私が気付くと同時に坂下さんが
ユズさんから受話器を取り
代わりに電話口に出た。


「もしもし、坂下です。…………
…………はい、食事に。
はい?…………ええ、車です。…………ですね。
分かりました。じゃ、後程。」


電話を切ると坂下さんは


「ユズさん、支度して。
詳しい事情は知らないけど
サトルさんの言う病院に送りますよ。」


えっ?
病院に?


もしかして、サトルさんに
何かあったの?


私の顔を見ると直ぐに
坂下さんは


「大丈夫だよ、胡桃ちゃん。
サトルさんは無事だ。
ただ、今から直ぐにユズさんを
病院に送ってかなくちゃならない。」


「あっ、はい……。
じゃ、私はーーー」


「いや、一緒に来て。
このまま、一人で返す訳にいかないし。」


「えっ、でも……。」


と、ユズさんを見るとーーー


「ごめん、胡桃ちゃん。
兎に角、坂下くんの車で
病院まで送って貰えれば大丈夫だから……。」









私達は坂下さんの車に乗り
病院へと向かった。


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