幸せの天秤
「これなら、イケるかもな」

あたしが手を加えたデザインに東条さんがOKをだす。

「お互いの良い所を、殺すのは勿体無いですからね」

「レンリらしいな。とりあえず、これでいこう。
後は次の会議までに、もっと具体的にしておこう」


今日の打ち合わせが終わった。

[レンリさんは、やっぱり凄いですね]

[凄い?]

[はい、少し手を加えただけであんな凄いデザインになるなんて]


祐太くんと話していると、あおの姿が目に入る。

会社を辞めてから、あおと会うのは初めてで、
会いたいという気持ちと、会いたくないという気持ちの中で揺れ動く。

あたしは自然に下を向く。

下を向いたことで、祐太くんとの会話も自然と途切れる。





「レンリ」


あおはあたしに気付き、声を掛ける。

「部長と打ち合わせだったんだろ、お疲れ」

あおはいつだって、あたしの心をかき乱すんだ。


「ありがとう」

「じゃ、頑張れよ」

あおはいつだって普通にあたしに接してくる。


あおは、そういうと行ってしまった。



隣に祐太くんがいたというのに、あたしにはあおしか見えなかった。
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