芸術的なカレシ
とどめ?






街は、クリスマス一色。
どこにいても、お馴染みの曲がかかっている。

家族連れに恋人同士。
みんなで歩く人、二人で歩く人、一人で歩く人。
みんな平等に、クリスマスはやって来る。

赤に緑。
金に銀。
それから白。

クリスマスは賑やかだ。
もしかしたらサンタクロースは派手好きなのかも。
まあ、赤い服着てるくらいだし。


小さい頃はサンタクロースを信じてたかとか、プレゼントを貰った思い出とか。
嶋田くんとお喋りしながら映画館へ向かった。

目に写るものが華やかだからか、隣にいる男の人が案外いい男だからか、私の心はどんどん弾んでいく。

なあんだ、拓がいなくても、私、けっこう大丈夫じゃん、なんて思う。




「うわ、めっちゃ混んでる……」



映画館は滅茶苦茶混んでいた。
入口から人が溢れている。

クリスマスに恋人と映画を観るのって定番なのかな。
拓とはクリスマスに映画なんて観たことないけど。



「ああ、あっちのアクションものも人気があるんだね。
すごい人だよ」


嶋田くんの視線の先には、開演を待つ長蛇の列。
有名なアクション映画の三作目だ。

ああ、拓がいつも見逃さないやつ。
拓と一緒に来ていたら、間違いなく、ここでじゃんけんになっていたことだろう。
















< 94 / 175 >

この作品をシェア

pagetop