【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
氷室部長に見つめられながら

あっ…。

そう言えば…今は何時なんだろう…。

と、私は思い始めていた。

氷室部長のマンションにこうして

足を踏み入れた時から

いや、それ以前からなのかな?

私は多分時計を全く見ていなかった

そんなような気がしてきた。

私は俯いて視線を下に向けた後

「…あの、今何時なんでしょうか…。」

と、テレビの近くに置いてあった

デジタル時計を見た。

………!!

「……あっ!!」

私は驚いた。

時計の時刻は

23:40になろうとしていた。

……えっ!?

もうこんな時間!?

もうそんなに…経っていたの!?

……いけない!!

私……帰らなきゃ!!

だってここは氷室部長のマンション。

彼氏でなく、恩人だけど

同じ会社の男性部長の

マンションにお邪魔して

シャワーや食事を頂いた上に

長話してるなんて

私ったら何て図々しい……。

もし、誰かに見られてたら

氷室部長に迷惑をかけてしまう。

夜とは言え

駅のロータリーで縋りついた事も…。

まずい…失態をおかした。

もう、話は洗いざらい聞いて貰えた。

満君と豊島さんの事は辛いけど

すぐに忘れられるとは思わない。

でも、我慢して

私は立ち直らなきゃいけない。

帰らなきゃ…自分のアパートに。

まだタクシー走ってるかな。

深夜料金が加算されるだろうけど

時間を見てなかった私が悪い。

これ以上

氷室部長に迷惑かけられない。

あっ…しまった!!

シャワーを浴びた後、着替えたんだ。

でも、コート羽織れば問題ないか。


「…野村さん…どうかしたか?」

黙ったまま考え事をしていた私を

氷室部長が心配そうに

「…黙ってるから…どうかしたか?」

と、不思議そうに見つめた。








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