【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
私は立ち上がった。

「…あのっ…氷室部長…。」

「………うん?どうしたんだ?
そんな焦って…。」

氷室部長は

立ち上がった私を見て首を傾げた。

私はガバッと頭を下げると

「…申し訳ありませんでした!!
のこのこお邪魔して
シャワーやお食事まで頂いた上に
長話までしてしまって……。
あの…もう、こんな時間ですから
私……帰ります!!」

そう言って

荷物のあるところまで

行こうとしたその時

「…ちょっと待て!」

と、引き止める声と同時に

……“ガシッ”。と

私は右腕を掴まれた。


….….えっ!?何!?


後ろを振り向くと

氷室部長が私の腕を掴み

強く鋭い瞳を私に向けていた。

瞳が何かを訴えかけているように。


「…氷室部長?」

ジッと視線は私に向けられて

腕は掴まれたまま。

私に何かを訴えているようで

背中がゾクッとした。

こんな氷室部長を見た事はない。


「…あ…あのぅ……。
なぜ…私、掴まれて……?」

戸惑いながら聞くと

「…野村さんが『帰る』って
言ったからだ。
…なぜ、帰るんだ?
帰すと思ってるのか?……帰るな。」


氷室部長が静かに口を開いた。

私に視線を向けたままで…。


……えっ!?

『なぜ、帰るんだ?』

『帰すと思ってるのか?』

『帰るな』って……。

どう言う事?

「…あの、もう遅いですし
いつまでも長居はご迷惑ですし…。
私、あの…タクシーで…帰れますから。
もう大丈夫ですから……。
氷室部長も
お休みの時間だと思いますし…。」

と、戸惑いながら答えると

「…迷惑かどうかは俺が決める事だ。
俺は……君を帰さない。」

氷室部長はそう言って

掴んでいた私の腕を

自分の方へグイッと引き寄せた。

「……えっ、あの……キャッ!!」

引き寄せられた私は倒れこむように

氷室部長の膝の間に座らされた。













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