【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
私を抱き締めるこの腕の温もり

私を好きだと囁く声。

「…羽美花。」

私を呼ぶ声。

本当に忘れさせてくれるの?

この胸の傷みも全て

あなたは忘れさせてくれるの?

本当に絶望から救ってくれるの?

この人がバツイチであろうと

何だろうと、私…今は何だか

帰りたくないと思ってしまった。

…私を助けて欲しい。

「…羽美花。」

私を呼ぶ氷室部長の声に

「…私、忘れたいです。
もう思い出したくない。
でも、本当に私を
絶望から救ってくれますか?」

氷室部長を見つめながら口を開くと

「…ああ。忘れさせてやる。
俺が絶望から救い出してやる。
だから、アイツらの事は俺に任せとけ。
…羽美花は俺の事だけ考えろ。
休みの間はここにいろ…いいな?」

そう言って私の返事を待った。

「……はい。」

その言葉を聞いた氷室部長は

「…今すぐにでも抱きたいけど
今日はやめておく。
だけど…俺は羽美花にキスをして
一緒に眠りたい。
羽美花が思い出さないように
嫌な夢を見ないように
抱き締めて眠りたい。
…それだけはいいだろ?」

と、私の答えを待つ。

拒否権なんて認めなさそうな

その熱く、鋭い視線に捉えている私は

「……はい。」

そう返事をするしかなかった。

それを聞いた氷室部長は

「…羽美花…俺の羽美花…愛してる。」

そう言って再び唇を塞いだ。

一旦離れて見つめ合い

吸い寄せられるように再び塞がれる。

熱い舌が再び激しく絡み合う。

「…んんっ。」

私は部長のルームウエアを

ギュッと握りながら

私からも舌を絡ませた。

部長は私の後頭部を引き寄せて

さらに深く唇を塞いだ。


この人のココロには

私と言う花が咲いていた。

恩人の枠を越えて

私のココロに花が咲こうとしている。

真っ暗闇に突き落とされた私に

氷室部長と言う光が差し込み

私は絶望から救われたような気がした。


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