【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
***

あれから数ヶ月。

あの女子学生は

どうしているのだろうか?

どうなったのだろうか?

あの日、無事に

Sコーポレーションに間に合い

事前に連絡しておいた研修担当者達に

あの女子学生達を引き渡したが

俺は初歩的ミスをおかした。

自己紹介どころか彼女達の名前すら

聞いていなかった事に

引き渡した後になって思い出した。

営業課…ましてや営業課長なのに

自己紹介なんて当たり前になのに

俺は名刺すら渡していなかった。

暑さのせいで頭が回らなかったのか

そのくらい、俺は相当慌てていたのか。

でも、これだけは言える。

俺は、あの美しい女子学生と友達が

説明会に間に合って欲しかった。

就職氷河期の狭き門を潜って欲しい。

Sコーポレーションは

A社の親会社でもあるが

他にもたくさんの子会社を抱える

大手企業でもある。

あの説明会への出席は

採用試験を受験するための

条件の一つでもある、

だからこそ、間に合って欲しかった。

不謹慎ながら思った

あの美しい顔…優し気な瞳。

俺は歪ませたくなかった。

助けてやりたかった。

でも、こんな気持ちは…何なのか…。

俺はあの日以来、自問自答している。







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