【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
*******

それから一ヶ月半が経った。

時は12月22日。

翌日は祝日、その翌日は

クリスマスイブになるこの日。

私は朝、美容院で髪をセットして貰い

冬で寒いから

ファー付き長袖ピンクのワンピースに

コートを羽織り

普段は履かないピンクのヒールを履いて

Aホテルに来ていた。

***

『いいなぁ。野村さん。』

『羨ましいです…そのブーケ。』

『狡い!羽美花ちゃんだけなんて。
私も欲しい!!」

私が右手に持っているブーケを見て

同僚達が羨ましがっていた。

『コラコラ!アンタ達僻むなよ。
羽美花は貰って当たり前よ!
花菜子もどうしても羽美花に
ブーケを貰って欲しかったのよ!
今日の主役の花嫁が前から決めてた事。
おめでたい席で文句言うなよ!」

正田亜美が一喝した後

何か言いたげな笑みを浮かべた。

彼女は秘密を知っているから。

すると

『えっ!?何!?』

『結婚するの?』

と私は突っ込まれそうになり

慌てて亜美を引っ張った。


今日は、花菜子と菊田課長さんの

結婚披露パーティーだった。




出来ちゃった婚の花菜子と菊田課長は

結婚式を挙げておらず

英理菜ちゃんが1歳半になった事や

菊田さんがT社課長に昇進した事を

ひっくるめてお祝いしようと

決まったと彼女が言ってた。

既に身内、親族だけで挙式を

済ませていた菊田夫婦は

このAホテル内のパーティー会場で

挙式に呼べなかった双方の上司や同僚

友人を招いてのパーティー風披露宴を

行っていた。



さっきの同僚の質問をかわして

別の場所へ移った私は改めて

彼女に貰ったブーケを見つめた。





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