【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
有名なデザイナーがプロデュースした

ドレスに身を包んだ花菜子は

可愛いお姫様みたいだった。

菊田課長もかっこいいし

英理菜ちゃんも可愛いかった。

彼女に優しく寄り添う菊田課長は

甘い雰囲気が漂って

3人家族の幸せな家庭の光景が

垣間見えたようで温かい気分になった。

偶然の再会が恋愛に発展して

赤ちゃんを授かって結婚して…。

幸せな気持ちを分けて貰えたようで

感動で何度も涙で瞳が潤んだ。


今日そんな幸せでおめでたい日に

主役の花菜子から

幸せのお裾分けを私は頂いた。

***

それは披露宴のクライマックスに

近づいた時の事。

司会者から突然名前を呼ばれた私は

皆の注目を浴びる中

ひな壇の横に立っていた

花菜子と菊田課長の元へと歩いた。

『羽美花に受け取って欲しいの。』

そう言って彼女は

式の間ずっと手に持っていた

白とピンクや黄色などの花々が

可愛らしく彩られたブーケを

私に差し出した。

驚いて硬直する私に

『貰ってやってくれないか?
花菜子は“野村さんに渡したい”と
ずっと思っていたんだよ。』

菊田課長からも言われて

「…ありがとう。花菜子…菊田課長。」

私は手を伸ばして受け取った。

彼女は耳元でそっと

『氷室部長ともうすぐだと思うけど
羽美花には絶対幸せになって。』

その囁きが聞こえて

課長もにこやかに頷いていた。

私の手にブーケは渡って

会場は拍手に包まれた。

あの人もこっちを見て口角をあげた。

私も自然な笑みが出ると共に

恥ずかしかったけど、嬉しかった。

***

披露宴はひとまず済んで

今はまだ別会場に異動して

二次会みたいな雰囲気で

ざっくばらんに談笑しながら

ドリンクやオードブルに舌鼓を

うっていた。

そんな中でふと我に返って前を見ると

遠くの方で菊田課長を囲んでいる

男性達の姿が見えた。

「…氷室部長って
やっぱりカッコ良いね。
女性陣の目が半端ないけど
羽美花…話に行かなくていいの?」

授乳期間中でお酒が飲めない亜美が

オレンジュースを飲みながら

男性陣をチラチラ見ていた。

私もやや複雑な気分でチラリと見た。
< 304 / 320 >

この作品をシェア

pagetop