【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
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まだ少し肌寒さはあるものの

桜が咲き、澄み切った空に

爽やかな風がふき

雲に隠れていた太陽が

明るい光を差し込んで

土の中で眠っていた芽が顔を出し

春の訪れを存分に感じる4月。

Sコーポレーションの女性社員達が

入社する新入社員よりも

緊張感MAXの気持ちで

ワクワクドキドキしながら

待ち望んでいたと言っても

過言ではないこの時期がやってきた。


「ねえねえ、氷室部長見た!?
超カッコ良かったよねー!!」

「私、挨拶しちゃった!!
爽やかに返してくれたよ!!」

今日は朝から廊下を歩く度に

メイクバッチリ、気合いバッチリの

独身女性先輩社員達から聞こえてくる

こんな会話ばかりが

嫌でも耳に入って来る。

先輩達から漂う

キツイ香水のニオイに

顔がしかみそうになるのを

何とか耐えながら

(やっぱり…凄い人気あるんだなぁ。

そんな人に私は助けられたんだなぁ。)

と、通り過ぎる度に私は

一人しみじみと感じた。



企画デザイン開発部の藤堂課長達の

強い推薦により、4月1日付で

A社から引き抜かれた

氷室咲輝翔課長が正式に

Sコーポレーション営業部へ

異動と同時に部長へと昇進した。

あの時私を助けてくれたあの人は

課長ではなく、営業部長となり

営業1〜5課と言う

大所帯を統括する

重要なポストに就いた。

あと数日で29歳になると言う

氷室部長に誕生日プレゼントを

渡す人も多分いるんじゃないかと

思うくらい、氷室部長人気は

想像より凄まじいものだった。




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