【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜

知らないフリをして通り過ぎるべきか

又は引き返して

反対側の突き当たりにある

エレベーターに乗ろうかと思っていると

「…うーちゃん?」

後ろから呼ばれてビクッとなった。

「…あっ、悪い。驚いた?
立ち止まってるから
どうかしたのかなって。」

私の横に並ぶように

ビジネスバッグと

スーツのジャケットを

持って立ち止まったのは

この春に営業部の

営業1課主任に昇進したばかりの

柴田和弥(しばた・かずや)さん。

私が配属されている

システム部の先輩社員

荒井麻美(あらい・あさみ)さんと

同期であり、麻美先輩の彼氏でもある。


麻美先輩から

『野村さんは、羽美花だから
“うーちゃん”て呼んでもいい?』

と言われて以来

私は麻美先輩から

『うーちゃん』と呼ばれ

昼休みも麻美先輩と時々

一緒に食べている柴田主任も

いつのまにか私を

『うーちゃん』と呼ぶようになった。

顔も声も甘さを含んで

可愛らしい麻美先輩と

明るく真面目な柴田主任は

お似合いのカップルで

もうすぐ婚約するらしい。









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