A-YA-KA-SHI☆バスター!!【Ⅱ】
 そして女子高生ラッシュの時間が終わり、そろそろ店じまいの時間が近づいていた。
 最後のお客さんが帰った後片付けをしながら、彩はため息をつく。


「やっと明日、定休日だな」
「なぁに、彩。そんなに定休日が待ち遠しいの?」


 洗った食器を拭きながら、美樹は笑う。


「そりゃそうだろ。人手が足りなくなった分、仕事がメッチャ増えてるんだからさ」
「それはそうだけど・・・」
「あー、何だか今夜は飲みたい気分だな。付き合えよ、美樹」


 うーんと伸びをしながら、彩は言う。


「喜んで付き合うわ、彩。わたしも少し、飲みたい気分なの」


 あの戦いが終わってからも、彩が夜に出かけているのを美樹は知っていた。
 それが、アヤカシ退治に出掛けているのだと分かっていても、美樹は何も言わなかった。
 美樹が閉ざした道は、まだ開いてはいない。
 だからもうしばらくは、アヤカシが道を通ってこの世界にやって来る事はない。
 それでも何故、彩が毎晩出掛けるのか。
 美樹には少しだけ、分かる気がした。
 きっと、彩は待っているのだ。
 二人の、帰りを。


「今日は、出かけなくていいの?」


 そんな風に聞いてくる美樹を、彩は振り返って。


「・・・飲みたい気分だって、言っただろ?」
「ハイハイ、分かりました」


 からかうようにそう言う美樹。
 何だよ、と、彩は口を尖らせる。


「看板、しまってくるからな」


 そう言って店のドアに向かう彩を、美樹は苦笑しながら見送った。
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