絶対日記『REWRITE』
チンピラは走りながらそう叫んだ。微かに、笑い声が聞こえる。だんだんと、姿が見えなくなっていった。

「……」

涙が溢れる誠。

「くそ!くそ!」

泣きながら、近くの電柱を思い切り殴る誠。

「何でやねん!何で、こうなるねん!」


……大事なときに限って……


「せっかく、手に入れた金が…麗菜にあげる、金が……」

そのときだった。幸運が舞い降りた。

「あの…」

誠の背中に声がかかる。

「何や!」

その声の方に振り返る誠。そこには、二十歳くらいの男が立っていた。

「俺、今そこのパチンコ屋でパチンコしてたんやけど」

「それが何や!」

イライラして言う誠。

「よかったら、続き打つ?結構、良い調子の台なんや」

「金が無いんや…たった今、アホ共に盗られた…」

「見てた」

「は?茶化しにきたんか?」

男の胸ぐらをつかむ誠。

「おいおい、落ち着け!今出てる玉、やるわ」

「……え?」

「大した量ちゃうけど…俺、今からバイトやから、ええよ」

「え…ホンマ?」

「ホンマや。結構大金、盗られとったみたいやからな。俺は朝から結構勝っとるし。同情や」

「ありがとう…」
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