滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬
ーーって、そうハッキリ言われるとコッチが困るんですけど!?
ストレートに好きな人とか、いつも見てるとか言われたらこっぱ恥ずかしくて仕方ない。
「そ、そりゃ貴方からの視線は痛〜〜いぐらい感じますけどねっ」
ドキドキを隠す為にわざと嫌味ったらしく返したが、
感じてるのは彼の視線ではなく、別の人間。
まるで常に監視されてるような鋭い視線だ。
「つか、さぁ…」
その時、彼が深いため息ついてムッとしたまま私を見下ろしてきた。
「な、なに、よ」
ーー何か怒らせるような事言ったっけ…?
さっきの言い方まずかったかな…。
私もそうだけど彼もすぐ顔に出るタイプ。
動揺しながら目を泳がせている間もエレベーターは下降していき、
小さな電気音が小さな個室に響き渡る。