滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬

「何食わぬ顔で出勤して、普段通りに仕事して、その裏で奈緒子さんに対して嫌がらせを赤の他人にさせるその腐った神経がムカついて…」






“白々しい事言いやがって…、奈緒子さんがどれだけお前に傷つけられたか分かってんのか!”

“俺が何をしたんです…!?ストーカー?夏目さんを傷つけた?俺にはさっぱりですよ”

“てめぇ!ふざけんな!!”







「気づいたら言葉より手が出てた。そしたらすぐ他の人間に止められて…。で、そこからは奈緒子さんが目撃した通りだよ」

「そっか…。周りも驚いてたでしょ」

「まぁね。でも周りなんか関係ない。何言われようがどう思われようが」




あの騒ぎの後、蒼に対しての周りの目がガラリと変わっていた。



それは明らかに悪人扱いで、
俊介はそれに巻き込まれた罪なき被害者として介抱されていた。




その裏で何があったか知らないままで。


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