滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬

『ええ!?真壁部長が辞めた理由?そんなの知らないわよ〜』




会社の情報通なら何か手がかりがあるかもしれないと思い連絡をとったが、

あずさも知らないらしい。



じゃ、かなり極秘で会社辞めたってこと?




『ってアンタの方が詳しいんじゃないの〜?』

「だったらいちいちあんたに電話しないわよ」

『あ、そか』



ははは〜と陽気に笑うあずさとは電話を切って、
他に何処か蒼の行きそうな場所がないかひたすらに思い出す。





駅前のパスタ屋さん?

それとも本屋?



自宅は最後の砦として残し、
他に場所がないかと頭の中から片っ端から記憶を辿って行く。





つい一昨日あったばかりなのに、


何であの時辞めたことを言わなかったの?


その諸事情って喧嘩が理由なんじゃないの!?





どうしてそんなに大事なことを黙ってるのよ!!




休憩所で頭を悩ませる私の側にひと気を感じた。

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