滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬

彼の笑った顔や拗ねた顔。



意地悪そうに囁く声に、

熱っぽく呟く甘い声。




私の体にはっきりと残された彼の感触が時々疼くこともあった。


たった数時間しか同じ時間を過ごしていなかったのに、


私は完全に彼の魅力に吸い込まれてしまっていたんだ。





ーー今頃…、何してるのかな。




窓の外へ目線を移すと、

高層ビルが立ち並ぶ東京の町並みとその隙間から見えた青い空がある。


同じ空の下にいるのに彼とはもう会えない。



きっと彼を探し追い求めるのは、
まさに雲を掴むような感覚だろう。



あんな別れ方を自ら選んだのに、

後々になってからせめて連絡先だけでも…と名残惜しむなんて。




きっと彼は私のことなんてすっかり忘れているんだろうな。


きっと、もう……ーー。


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