滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬
「どんな手を使ってもいいから会いたかったんだよ?奈緒子さんに。忘れられなかったんだ、ずっとずっと」
切なげに訴えてくる彼の感情が、
私の胸をギュッと強く締め付けてくる。
「…」
「…」
数秒お互い黙り見つめ合った後、
彼の唇が私の唇に軽く触れて名残惜しそうにゆっくり離れた。
さっきの荒々しいキスとは真逆で、大切なものにそっと口づけするような、
優しいキス。
「…好きになっちゃったんだ、奈緒子さんの事が」
それが私の目の前に突如と現れた真実と、
彼のホンネだった。