花と緋色
そこには、惨劇があった。
此方を見てニヤリと笑む血塗れの者。
“あら。寝ていたらよかったのに”と口が動く。
しかし、声を感じない。
すると、扉の方から一陣の風が吹き、音が戻ってきた。
「サイレーン……」
シエリアは悲しそうに名前を呼んだ。
その声は風に掻き消されたのか、届かない。
「折角、わざわざ音を消していたというのに。」
馬鹿にしたように言う。
「こんなこと、間違ってる!」
「目的の為の犠牲だ。」
シエリアにサイレーンは言う。
そして、血塗れの手でシエリアの頬に触れた。
ぬるりと暖かい感触がする。
「すごく、美味しそうだと思わないか?」
そう囁いて、その手でシエリアの口元に触れようとした。
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