赤い流れ星
「そ…それは……
シュウのことが好きだからに決まってるでしょ!」

「ひかり…今、好きって言った?」

「い、言ったよ!
シュウのこと…だ、大好き……」

「ひかり…!」

シュウが立ちあがって、身を乗り出した。
……と、思った途端、私の目の前にはシュウの顔があって……
シュウの唇が、私の唇に重なった。
それは、ほんの一瞬のことで…



混乱した私は、大きな声をあげて泣き出して、自分の部屋に向かって駆け出していた。
シュウが私を呼ぶ声が聞こえたけど、それに答えられる余裕は私にはなくて……
すっかりパニックに陥って、私は部屋で一人でわんわん泣いてしまった。







(最悪……)



しばらく経って、私は100%の自己嫌悪に陥っていた。
もうすぐ19になろうというのに、あんな軽いキスだけで、なんで……
別にいやだったわけじゃない。
ただ…びっくりしただけで…そのびっくりの度合いが大き過ぎただけで……

だけど、びっくりしたのはシュウの方だと思う。
あんなことくらいで、私がまさかあんな態度を取るなんて思ってなかっただろうから。
傷付いてるかもしれないし、誤解したかもしれない。



(謝らなきゃ…!)

立ちあがったものの…やっぱり恥ずかしい。
晩熟にも程がある。
それに、顔がまた酷いことになってるし……
でもでも…このままってわけにもいかない……



私はしばらく考えて、サングラスとマスクをかけ、おそるおそる下へと降りた。
< 121 / 171 >

この作品をシェア

pagetop