赤い流れ星
でも……
考えてみれば、シュウと兄さんはそれほど仲良くなったってことだ。
だいたい、あの旅行から帰って来てから、二人は急に仲良くなった感じはしてた。
二人が仲良くなってくれるのは、私も嬉しいけど……
でも、それとこれとはやっぱり別。
言っちゃいけないことだってある!
ああいうことは二人だけの秘密にしといてくれないと!
それにしても、兄さんも人が悪い!無神経!
昔はあんなに優しかったのに……



(……そういえば、大きくなってから兄さんと話した事ってほとんどなかったかもしれない……)

兄さんは家を出て、実家にはあんまり帰って来なくなって……
帰って来ても、私はほとんど一人で部屋にいたから、ほんの僅かしかしゃべることはなかった。

ここ十年以上の兄さんのことは、ほとんど知らないに等しかったんだと、私はようやく気が付いた。
それなのに、困ったことがあると、兄さんに頼ろうとしてしまう私は勝手だよね…
昔から、私はいつも自分のことしか考えてない気がする。
シュウに出会ってから、少しはそれも改善されたかと思ったけど、やっぱりまだまだだ。



「兄さん……
イギリスではどうしてたの?
どんな所に住んでたの?
兄さん、写真の勉強してたんだよね?
ね、どういうものを撮ってたの?
どんな所に行った?」

兄さんに目を向けたら、その途端に兄さんへの質問は次から次に頭に浮かんだ。
そう、私は兄さんのことを何も知らなかったんだから。
兄さんは、私がそんなことを訊いたことを不思議に感じたのか、少し驚いた風だったけど、いやな顔はしなかった。
それどころか、けっこう機嫌良く話してくれて、私達は夜遅くまで兄さんの話を聞いた。
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