赤い流れ星




「ネイサン、どう思う?
君は今の話が信じられるか?」

「カズ、そんなことじゃ僕は驚かないよ。
世界には毎日数え切れない程の奇蹟が起きてるんだから。」

ネイサンの優しい笑顔に、俺の心は癒された。



話すか話さないかはもちろん迷ったが、俺はやはり美幸達のことを自分一人では抱えることが出来なかった。
ネイサンは、スピリチュアルの世界を深く信じている。
それがわかっているからこそ、俺は、シュウと美幸のすべてを話すことが出来た。



「ネイサン、ひかりは今シュウと一緒にシュウの世界にいると思うか?」

「だろうね。
そうとしか思えない。」

「……正直に話してくれよ。
美幸とシュウは本当はこの世界のどこかにいて…二人はまさか…その…」

「自ら命を断つとでも考えてるのかい?」

俺がなかなか言い出せなかった言葉をネイサンはあっさりと口にした。



「そんなことはないさ。
二人にそのつもりがあったなら、いくらなんでも財布や携帯くらいは持って行くだろう。
きっと…君の妹がその物語を書いた時点で、二人はシュウの世界に行ったんだと思う。」

「……俺もそう思った。
だけど、冷静になってみると、その考えに自信がなくなったんだ。
だって、シュウがこっちに来たのはカリスタリュギュウス流星群の日だったけど、今日は特になんでもない日だ。
なのに、なぜそんなことが…」

「おそらく……君の妹は自分の書いたストーリーとこの世界がリンクしてると考えたんだ。
だから、ストーリーを動かせば、こちらにも何らかの影響が出ると考え…そしてその試みはまんまと成功した。」

普通の人間なら、まともにとりあってもくれないであろう摩訶不思議な事態を、ネイサンはいとも簡単に言ってのけ、信じてくれた。
そのことがおかしくて俺は思わず失笑してしまった。



「僕はなにかおかしなことを言ったかい?」

「いや…君があまりにもあっさりと言うものだから……」

「カズ…物事の真髄なんてどれも単純で簡単なものだよ。
それをややこしく難しいものにしてるのは、受け取る側の心の問題だ。」

「ネイサン……」

俺は、ネイサンの言葉に救われた。
そうだ…きっと、そうなんだ。
元々はこの世界での実体を持たないはずのシュウが実体となって現れたんだから、その逆もあって不思議はない。
やっぱり、ひかりは自分で進むべき道を選び、そしてそれに従っただけなんだ。



「ありがとう、ネイサン。
俺も素直に信じることにするよ。」



ひかりとシュウの幸せを……
そして、二人がまたいつかこっちの世界に戻って来る日が来ることを……

< 171 / 171 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:22

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする

総文字数/147,567

ファンタジー257ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
ごく平凡な毎日を過ごしていた紗季… それが、何の前触れもなく見知らぬ場所へ飛ばされて… そこで紗季は、今まで考えたこともなかったような自分の『運命』に翻弄される… ※表紙画は、ck2様に描いていただきました。
赤い流れ星3

総文字数/578,084

恋愛(ラブコメ)761ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
異なる世界から戻って来た美幸に、降りかかる新たな試練… シュウと美幸はまた出会えるのか? そして二人の恋の行方は…? 和彦と野々村の仲は、一体、どうなる!? ※「赤い流れ星」「続・赤い流れ星」に続く第三弾です。 ぜひ、「赤い流れ星」からお読み下さい。 ※少し前に書いたものですので、今とは少しばかりスマホ事情が違っています。m(__)m ※表紙画はくまく様に描いていただきました。
美人爆命!?異世界に行ってもやっぱりモテてます。

総文字数/103,700

恋愛(ラブコメ)188ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
可愛くてけっこうモテるのに、なかなか好きな人と巡り会えない未来。 そんな未来に、ある日、信じられないようなことが起きて… えーっ!まさか、これって天罰!?

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop