秘密戦隊とホームレス宇宙人
ハカセはすぐに電車を乗り継ぎ、川越へ向かった。

川越に着いてからは、サラリーマンなら知ってるだろうと、サラリーマン風の男たちにキャバクラの場所を聞き込み、なんとか店にたどり着いたのだった。


「あった。ここだな…ジュエル…」


ハカセは満を持して中に入ろうと思ったが、入り口の看板の料金に目がいった。


「…い、1時間…6千円…?指名料がプラス2千円?」


ハカセは自分の財布と相談する。
財布など持っていない。

ツナギのポケットから出てきたお金は、くしゃくしゃになった千円札が4枚だった。


それでもハカセは中に入った。


「いらっしゃいませぇー!」

ボーイが威勢のいい掛け声でハカセを迎える。


「桃子ちゃんって娘はいるか…?」


ハカセはボーイにそう尋ねた。


「おりますよー。ご指名ですか?」
ボーイは笑顔でそう答えた。
ハカセはそれを聞いて、一瞬安堵した。そしてすぐに交渉を持ちかける。


「いや、その…指名したいんだが、もうちょっと安くならんかな?」


「…料金ですか?ちょっと厳しいですねぇ」


「4千円しかないんだ!頼む!」

ハカセは両手を合わせて頭を下げた。


「いやぁノーゲスだったら安くも出来るんですが、今日はお客さんも多いんで、安くするのは無理ですね」

※ノーゲスト…客が一人もいない状態のこと。


「頼む!宇宙の未来がかかってるんだ!」


「へ?宇宙?」

ボーイはキョトンとしている。

そこに奥から背が高いボーイが現れ、状況を訊く。


「…その…お金が4千円しかないみたいなんですよ…」

状況を把握した背の高いボーイがハカセにこう言った。


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