秘密戦隊とホームレス宇宙人

そして、素性のよくわからない三人と共同生活をすることになった。

一軒の真っ黒な怪しい家をシェアリングする。ホームシェアとはいえ、実家を離れるのは初めてだ。

まずは、シェアのことを家族に言うべきだよな…。


「一応、お袋に連絡してもいいですか?ホームシェアのこと…」

俺の問いに、ハカセは頷く。

「もちろんだ。ただ、ガウベルトや内部事情は誰にも言ってはならんぞ!」

「は…はい」


もちろん言わない。言えない。言ったところで信じてはもらえないだろう。

もう大人だし、友達と住むのなんて簡単に許可は出ると思ったが、廊下に出てお袋に電話をかけてみた。


「―もしもし」

お袋が電話に出た。


「あ、俺だけど…」


「何?」


「急な話なんだけど、友達と家を借りて住むことになったから…」


「ふーん」

ふーんって…興味ないのか?息子が家を出るというのに。


「誰と住むの?」


「…友達三人と」


「あんた…外国人と住むの?」


「外国人じゃねぇよ!」

一人は宇宙人だけど。

 
「どこで?」


「同じ市内だよ。市民センターの近くの…ホームセンターがあるとこの近く…」


「え?うちから車で10分くらいの市民センター?」


「そう」
まさかこんなに近くに出るなんて思わないよな。


「…ふーん。いいんじゃないの?」


「え?」
母の意外な答えに、逆に俺が戸惑った。


「あんたの分の食費や光熱費がこれから浮くんだし、家計が楽になるわ」


「…そっか」

そんなもんなのか。


「むしろ、早く出ないかなって思ってたぐらいよ」


「ええっ?」
俺ってうざかったのか?


「うちでフリーターしてるよりは、家から出て自立したほうが勉強にもなるし、賛成」


「そうだよな。サンキュー」


「あんたを受け入れてくれる優しいお友達によろしくね」


「ああ。わかったよ」

物分かりのいいお袋でよかった。
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