秘密戦隊とホームレス宇宙人
俺は電話を切ると、背後に気配を感じた。


「お母さんに電話してたの?」

その声は桃子さんだった。


「あ、はい」


「OKだって?」


「うん。というか家を出るのを喜んでたようで…。うざったかったのかな…」


「そんなことないと思うけど…。荷物はいつ取りに行く?」


「明日の昼にしようかと思います」


「じゃあ、あたしも引越し手伝おうか?」


「いや、それは大丈夫。桃子さんが来たら、家が混乱すると思うし…」


「じゃあ、涼平を派遣するね」


「う、うん」
涼平は力がありそうだし、頼りになりそうだ。


「あ、今日バイトあるんだけど、外出しても大丈夫…ですか?」

恐る恐る訊いてみた。バイトには行きたい。


「もちろん。ミーティング以外は基本的に自由行動だから」



「そっか。よかった…」
出入りは自由に出来そうだな。
でも、もし俺が変な気を起こして逃げたらどうするんだ?

 
「後で鍵を渡すから、出入りは自由。クロちゃんのことは、信用してるからさ」


信用してくれてるんだ。よかった。


「はい。これ返しておくね」
桃子さんが俺に何かを差し出した。
暗くてよく見えないが、黒い……二ツ折りの財布?


―俺のだ!


「え?なんで桃子さんが?」
俺がどこかで落としたのか?


「今さっき気付いたら、あたしの腰に…ベルトにくっついてたのよ」


「ええっ!?」


彼女の能力は……お金を引き付ける……だからか!


「マジすか!?」
全く気付かなかった。
中身を一応確認するが、何も変わってない。
現金が一万二千円とちょっと…。

コンドームを見られたとしたら、気まずい。


「一応…コピーさせてもらったから」


「え?」
桃子さんは一体何をコピーしたんだ?
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